身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
けれどこの一晩が、私に想いを自覚させた。
尊敬や敬愛というのはきっと、愛情にとても近い。だけど究極的に違うのは、そこに触れ合いを求めるかどうかではないだろうか?
そっと、唇に指先で触れる。そこに初めて触れたのが、ブロードさんでなかったという現実……。
ザイード王との口付けを思い出せば、胸に言い様のない嫌悪感が湧き上がる。
ブロードさんにしか、触れて欲しくない。ブロードさんでなければ、嫌だと思った。
そうして今、切ないくらいにブロードさんの温かな腕が恋しい。その腕にきつく抱き締めて口付けて、ブロードさんの感触に塗り替えて欲しかった。
これらの意味するところなど、もう分かりきっている……。
「私、ずっとここに閉じ込められたまま? ブロードさんにもう、会えない?」
言葉にすれば、苦い思いが込み上がり、喉が詰まる。
目頭がジンジンと熱い。