身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
二月二十九日、彗星から星の欠片が一つ、流れ落ちる。何万光年の彼方から零れ落ち、大気圏に突入して燃える。
けれど煌々と燃える流星は、燃え尽きず大地にふわりと降り立って、……人型を取って眉を顰めた。
その姿は怜那の姿形に瓜二つ。衣服の細部まで、まるで同じであった。
『……う~む、この地は空気がばっちいのが難じゃな。うん?』
星の女神はしゃがみ込み、落ちたキャンパスバッグを拾う。
女神はおもむろに中を物色すると、スマートフォンを掴み上げた。
『これは、なんじゃ?』
女神がスマートフォンに、チョイチョイと触れる。
『おおおぉぉおお!!』
次の瞬間、女神は歓声を上げた。
『むふ! この地はなかなか楽しそうじゃ! ばっちい空気は、我慢じゃ!』
女神はご機嫌に微笑んで、足取り軽く怜那の自宅に帰って行った。