身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
「そうだよ。ふふふ、やだなレーナってば僕の女っぷりに打ちのめされちゃたの?」
あまりの衝撃に、咄嗟に答える事が出来ない。
……ともあれ、打ちのめされたというのは間違いではない。アボット君の女装含め、色々な意味で私は物凄く打ちのめされている。
「あぁ、もし熱い抱擁の方を照れてるならそれも今更だよ。僕、ブロード様とレーナが想い合っているのなんて、とっくにお見通しだったんだから」
アボット君はいとも簡単に言ってのけた。だけど言い当てられた私は、本気で顔から火が出るんじゃないかと思った。
なにより、どうして本人すら自覚していなかった恋心を、アボット君が先回りで知っている!?
「それにしたって、あの変装でもレーナはブロード様の事は分かるんだね?」
「……え、あっ! その恰好、一体どうしたんですか!?」
言われてはじめて、ブロードさんが見慣れぬ白髪と白髭に扮している事に気が付いた。
「ここ奥殿に入る為にやむを得ずな」
目を丸くして見上げる私に、ブロードさんは苦笑を浮かべた。
「なに!? もしかしてレーナ、言われるまで変装に気付いてなかったの!?」
「は、はい」