身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

 最初にまず、私の思慕が見せた幻を疑った。そんな私にとって、ブロードさんが目の前にいる事実、それが全てだった。

 そもそも、その恰好を認識すらしていなかった。私はきっと、実際に目が認めるよりも先、心でブロードさんを感じたのだ。

「うわぁ~。……恋は盲目って言うけど、本気で視力的にオカシクなっちゃうのかな」

 しみじみとアボット君が呟く。あまりの居た堪れなさに、私は小さく身を縮めた。

「おいアボット、いい加減にしないか」

 ブロードさんが私の背中を宥めるように撫でながら、アボット君を諫める。

「へへっ、すみません。レーナの無事な姿を見たら、ついつい気持ちが盛り上がっちゃって……レーナ、無事で本当に良かったよ!」

 もたらされた言葉の優しさが、全身に染みる。

「……アボット君、助けに来てくれてありがとう!」

 私はブロードさんの腕の中から飛び出して、アボット君の手をキュッと握る。

「うん、レーナ」

 アボット君も満面の笑みで、私の手をギュッと握り返した。

「……母さん」

 ? その時、横から耳慣れない声を聞いた。


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