身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

 私の言葉に、一同が落っこちそうなくらい目をまん丸に見開いた。

「私、王とはなんて孤独なんだろうってザイード王に同情しました。だけど、そうじゃなかった。ザイード王が目を曇らせて、こんなにも間近で寄せられていた親身な愛情に気付こうともせず、妄執を追いかけていたんです。だから私が、怒ってやります」

 意思に反して連れてこられ、絶望感に泣き濡れた。女性としての尊厳を踏みにじられる恐怖に身を震わせた。

「私には、それをする権利があると思いませんか?」
「……驚いたわ。レーナさん、女神でなくても貴方は物凄く魅力的。ザイードが貴方に惹かれた事が、必然とすら思えるわ」

「いいえ、王妃様。私の目には、王妃様の打算もなにもない愛情こそが、女神のように清らかで魅力あるものに思えます。私はきっと、もっと自分本位な愛し方しかできないので……」
「あら、それで良いと思うわ。だって貴方の愛が固くブロード将軍だけに繋がっていなければ、ザイードがいつまでも見苦しく縋りついてしまうでしょう?」


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