身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
次の瞬間、私は王妃様の腕にそっと抱き締められていた。
「レーナさん、どうかザイードをこてんぱんにしてやって? ザイードは権力を持ち過ぎて、驕ってしまった。王位はザナンドが取るけれど、その前にザイード鼻っ柱をへし折ってやるといいわ。ザイードには、いい薬になる」
王妃様は清々しく微笑んだ。
これもまた、ひとつの愛。寛容な、王妃様の愛の形。
「ブロードさん、すみません。帰るのを、少しだけ待ってもらえませんか?」
王妃様の肩越しにブロードさんを仰ぎ見る。
「俺とアボットはレーナの診療を建前に来ている。レーナの居室で、それらしく演じながらザイード王の帰りを待つとするか」
ブロードさんはそう言って、ヒョイと肩を竦めてみせた。
「ブロードさん、ありがとうございます!」