身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
「レーナ様っ!!」
屋敷に戻ればまず、レーナの姿を視界に捉えた侍女達が駆け寄って、あっという間にレーナを取り囲んだ。
すると今度は帰宅を聞き付けた裏方の使用人までもが、続々とレーナの元にやってきた。
俺は呆気に取られながらも、持ち場を離れて駆け寄る侍女や使用人を諫めようとは、寸分も思わなかった。
それだけ皆がレーナの無事を、祈ってくれていたのだ。
けれど奥殿からの帰路、ずっと俺の横にあったレーナの温もりが消えた事に、一抹の寂しさが過ぎる。やっと戻ったレーナを、手放す事が辛い。
侍女や使用人に対して抱くには不毛な感情だと自覚もしていたが、俺はきっとレーナを想うあまり、少しおかしいのだ。
レーナを一時だって離したくないというのが本音だった。
俺は厚い歓待の中心にあるレーナを、じっと見つめていた。