身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

 改めて、腕の中の女神様を見下ろす。

 女神様はまさに、幼い頃の俺が夢見た星の女神のイメージそのもの。石膏の女神が、温かな血の通う実体をもって、俺の元に舞い降りた。女神様の感触と温もりに、かつてないほどの高揚を自覚していた。

 今は漆黒の睫毛に閉ざされた女神様の瞳もまた、混じりのない黒だった。煌く射干玉の瞳を思い出せば、全身にいいようのない歓喜が巡る。

 当時の幼い恋心が胸に鮮やかに蘇り、一瞬で燃え上がる炎のように温度を上げた。
 湧き上がる、狂おしいほどの敬愛の情。

 止めどない女神様への思慕に、胸が詰まった。

 いくら幼心に夢見た女神様とはいえ、これほどの激情を抱く事に、俺自身驚いていた。けれど想いは理屈ではないのだと、本能で求めるのだと、俺は今この瞬間に、身をもって知った。

 女神様を抱く腕に、グッと力を篭めた。

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