身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
俺の指示を受けて、メインからデザートまで、全ての皿が一堂に出揃った。
「後はこっちで適当にやるから下がってくれ」
「かしこまりました」
こうして俺とレーナは二人だけの食卓を囲んだ。
「ブロードさん、私は当面外出を控えた方がいいでしょうか? 出来れば明日から、また患者さんのところに行きたいと思うんですが……」
遠慮がちにレーナが切り出す。レーナは今回の一件で、気を回しているようだった。
本音を言えば、レーナがずっと屋敷の中にいてくれた方が俺は安心で、そうすれば間違っても再びレーナが攫われるような事態は起きない。
けれどそれでは、レーナが籠の鳥になってしまう。俺の安心のためにレーナを閉じ込める事が望みではない。レーナには、己の意志で自由に羽ばたいていて欲しい……。
「レーナ、王都の警邏巡回を強化するように、既にアボットに指示は出している。飲食店や宿屋にも抜き打ちで監査を実施する。もちろんどれだけ対策をしても犯罪の芽を全て摘み取る事は出来ない。だが犯罪に巻き込まれる事を恐れ、レーナがレーナらしく過ごせないのであれば、それでは本末転倒だ」