身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
レーナと二人きりの食事は、とても穏やかに進む。レーナは常からあまり饒舌ではない。
この日の夕食でもそれは変わらず、レーナの口数はそう多くはなかった。
「……ふふ、やっぱり美味しい」
「うん?」
「いえ、ここのお屋敷の食事が美味しいなぁって。王宮の贅を尽くした食事より、やっぱり家のご飯が一番ですね」
けれどこの日、レーナがポツリ、ポツリと語る一言一句は、どれもが俺の胸に重く深く沁み入るように響く。
中でも「家のご飯」という一言は、俺を歓喜に震わせるには十分だった。
「あ、もちろんここの食事だってびっくりしちゃうくらい、豪華ですよ? ……あの、ブロードさん?」
言葉に詰まった俺を、レーナが怪訝そうに仰ぎ見た。
「……いいや、そうだな。食事も休息も、どれを取っても我が家に勝るものはないな」
「はい……」