身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
珠を結んで頬を伝う、輝石よりも煌くそれを、そっと指先に掬い取る。だけど雫は、ホロリホロリと零れ落ち、拭うのが追いつかない。
俺は無意識に、唇を寄せていた。一滴だって失うのが惜しかった。
……あぁ、なんと甘い。
涙を甘く感じるなど、あり得る訳がない。しかしこの時、レーナの涙は舌に蕩けるほどに甘かった。幾度となく唇で吸い上げて、滴りを追うように舌先で頬を舐め上げた。
するとレーナの手が、ふいに俺の頬を撫でる。レーナの手はそのまま位置を高くして、俺の頭をサラリと撫でた。
「綺麗……」
それは小さな、ほんの小さな呟き。
「レーナ?」
レーナはまるで、宝物でも慈しむような手つきで俺の髪を指で梳く。髪がレーナの指の隙間をサラリと滑る。