身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
髪に神経など通わないはずなのに、レーナの触れた部分からゾクリとした熱が湧き上がるようだった。
「……私、ブロードさんの金糸を紡いだみたいな髪が好きです。それから、ブロードさんの透き通る紫の瞳も好きです」
俺はこれまで、亡き母に瓜二つの男らしさに欠ける容貌を、あまり好んでいなかった。けれどレーナの目に、俺の容貌が好ましい物として映るならば幸いと思えた。
「だけど一番好きなのは……」
ここでレーナが、不自然に言葉を途切れさせる。俺は急かさずに、俺の瞳より一層美しい黒の瞳をそっと見つめた。
「一番大好きなのは、いつだって優しく温かく私を見守ってくれるブロードさん自身です。私、ブロードさんを愛しています」
「レーナ!」