身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
ギィィィィ――!
「ブロード様ー! すいません、なんか二匹がなかなか言う事聞かなくて、……わ、わっ、わぁぁああああっっ!!」
戻って来たアボットが、中の惨状に目を剥いて、騒々しい叫び声を上げた。
「静かにしないか!」
俺は咄嗟にアボットを嗜めた。
アボットは次の瞬間、ハッと目を瞠り、足早に俺に駆け寄った。アボットの目は、俺が腕に抱く女神様に釘付けになっていた。
そうして俺のすぐ隣にやって来たアボットは、恐る恐るといった体で、俺の腕の中を覗き込んだ。
「わ! 可愛い!!」
女神様の寝顔を目にしたアボットは驚嘆の声を上げた。
アボットはしばらく射抜くような強さで女神様を見つめた後、ゆうるりと視線を祭壇の女神像の残骸に移した。そのままアボットは俺の腕の中の女神様と、女神像の残骸を交互に見つめていた。