身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
「大丈夫か?」
その背を擦りながらそっと問えば、潤んだ目でレーナが俺を見上げ、コクコクと小さく頷く。
「……レーナ」
心が優しい温もりで満たされる。
大切で、愛しくて、レーナの一挙手一投足、その全てが俺を魅了する。
レーナ以上に優先すべきものなど、あろうはずもなかった。俺の内、僅かに顔を覗かせていた欲望の芽。それすらも、レーナへの溢れる愛しさを前に、一瞬で消失した。
「……ブロードさん」
「うん?」
小さく呼びかけられて、レーナの語る一言一句を聞き漏らすまいと、その口元に耳を寄せた。
「さっき、すごく体がふわふわして、飛んでいっちゃうんじゃないかと思いました」
呼気を落ち着けたレーナが消え入りそうな声で口にしたのは、俺の情欲の灯に再び火を点けるかのような、苦しいほどに可愛い台詞。
「……レーナ、頼むからこれ以上可愛い事を言ってくれるな」
「え?」
キョトンとして俺を見上げるレーナに苦く笑い、その頬をそっと手のひらで包み込む。そうして唇に、触れるだけのキスをした。