身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

 俺の腕の中、涙で顔をクシャクシャにしてレーナが笑う。色めいたもののない戯れは、情欲とは別の、確かな親密さを胸に伝える。

「それよりも、その時は私もしわしわのお婆ちゃんです。若い子に目移りしちゃ、嫌ですよ?」

 本音を言えば、濃密な愛を余さずに分け合いたい思いはあった。けれど今は情欲を満たすより、敢えてこの、ままごとのような抱擁を選んだ。

 レーナとの未来永劫の時は約束された。ならば今、この一時に焦りは不用だ。

「する訳がない! 老いも若いもない、俺の愛するのはレーナだけだ!」

 愛しいレーナを、思い切り抱き締めた。

「っ、ブロードさん苦しいですっ」

 高らかに笑い合うこの瞬間が間違いなく幸福で、これが俺とレーナのペース。

 俺達のペースで、俺達だけの夫婦関係をゆっくりと築けばいい。愛しいレーナの温もりを、可愛い抗議の台詞ごと、ギュッと懐に閉じ込めた。


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