身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

 ……ピンクの羊はだめぇ!

 私はそれを必死でシッシと追い払う。

 そうして羊たちとの格闘を繰り返し、空が白む頃にやっと羊に埋もれるようにして、微睡みの世界に沈み込んだ。



 寝付いてすぐに、その人は夢の中に現れた。

『久しいの』

 いいや、果たしてこれが夢なのか現実なのか定かでなかった。けれどその人が「現れた」事だけは紛れのない事実だった。

 その姿を認めた瞬間に、全身がガタガタと震え出す。かつて言い渡された突然の「交換」に、私の意思は介在しなかった。

 ブロードさんと引き離される恐怖に戦慄いていた。

『のう、わらわはそれなりにこっちの世界を満喫した。じゃからそろそろ、そっちに戻ってもよいのじゃが……』


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