身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
アボットの居なくなった客室で、俺は実に二十年振りに、ドリアス牧師と顔を突き合わせていた。
「……ドリアス牧師。どうやら息災のようだな」
居間のソファに早々に陣取ったドリアス牧師は、二十年前より白髪も顔の皺も増えたが、その人柄は相変わらずのようだ。
二十年の年月で、流石のドリアス牧師も耄碌しただろうと甘く見ていた。あわよくば金で解決と目論んだが、そう上手くは運ばないらしい。
「フンッ、儂はそうそう耄碌老人にはならんぞい」
俺を睨み上げるその眼光も、まるで衰えていない。
「あぁ、あと十年はいけそうだな」
苦笑を漏らし、俺もドリアス牧師の向かいに腰を下ろした。
「馬鹿を言え、二十年だわい! まったく……それで、ブロード坊ちゃん? なんだって女神像はああも粉々になった? それから女神像に瓜二つのあの少女……。儂には、嘘も誤魔化しも通用せんぞ」
ドリアス牧師は俺に、胡乱な目線を寄こす。