身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
「ドリアス牧師、少し待ってくれ」
聞こえたのは、決して大きくはないただの物音。けれど何故か、俺の胸に言いようのない不安が広がる。
俺は弾かれたように、女神様の休む主寝室に向かった。ドリアス牧師もソファを立ち、俺の後に続いた。
「女神様!?」
そうして扉を押し開き、目に飛び込んだ予想だにしない光景に、俺は息を呑んだ。
「何をしておられるのですか!? 落ちれば無事では済みません!」
「っ、ぁあっ!」
次の瞬間には弾かれた様に窓に駆け、窓枠から大きく身を乗り出した女神様の体を室内に引き戻していた。
何をしていたのかと声を大きくしながらも、女神様が窓から飛び降りようとしていたのは瞭然だった。