身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

「おかしいか? だが、最初に貴方を見つけたのは俺だ。ならばこれも、きっと何かの縁だと思わないか? 俺はブロード、貴方の名前は?」

 しかし今はまだ、少女を腕に抱いたこの瞬間以外を考えるまい。俺は自覚したばかりの内なる願いを幾重にも秘し、胸の奥深くへと仕舞い込んだ。

 俺の真意を推し量ろうとするかのように見つめていた少女が、クシャリと顔を歪ませた。

「……」
「ん?」

 くぐもった少女の呟き。俺は少女の口元に耳を寄せた。

「……貴方の厚意に、甘えさせて下さい、……ごめんなさいっ」

 少女は顔をくしゃくしゃに歪め、肩を震わせて苦しそうに告げた。

「泣くな。泣かなくていい。俺に謝る必要もない。存分に甘えてくれていい、俺がそれを望むのだ。さあ、貴方の名前を教えてくれ?」

「私は、」

 少女が俺を見上げ、口を開く。

「ブッ、ブハハハハッ!」

 なっ!?
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