身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
「この中に知っている国や地名なんかはないかね?」
ドリアス牧師に促され、端から端まで必死に目を走らせる。
しかし、どれも見た事も聞いた事もない国名だった。そもそも、多くの国がひしめく大陸の地形がまるで違っていた。
けれどそんなのは、改めて地図を見るまでもなく分かっていた。
……だってここは、星の女神によって寄越された異世界だ。
「ありません」
私は緩く首を振った。
「そうか」
ドリアス牧師はひとつ頷くと、地図を折り畳んだ。
けれど私の中ではひとつ、嬉しい発見があった。私は、文字が分かったのだ。
そう、読めるわけじゃない。けれど眺めていると、ホログラムのように見えてくる。
「レーナは文字が読めるのか?」
問い掛けたのはブロードさんだった。私の様子から、気付いたようだった。
「はい」
「そうか! それは良かった!」
ブロードさんはまるで、我が事のように喜ぶ。その優しさが、少し照れくさく感じた。
私は落ち着かなさを隠すように俯いて、膝上で手指をキュッと絡めた。
「それでブロード坊ちゃん、遣いはどうする? 儂の方から宰相あたりに、報せをやるか?」
宰相に、報告?
ドリアス牧師に促され、端から端まで必死に目を走らせる。
しかし、どれも見た事も聞いた事もない国名だった。そもそも、多くの国がひしめく大陸の地形がまるで違っていた。
けれどそんなのは、改めて地図を見るまでもなく分かっていた。
……だってここは、星の女神によって寄越された異世界だ。
「ありません」
私は緩く首を振った。
「そうか」
ドリアス牧師はひとつ頷くと、地図を折り畳んだ。
けれど私の中ではひとつ、嬉しい発見があった。私は、文字が分かったのだ。
そう、読めるわけじゃない。けれど眺めていると、ホログラムのように見えてくる。
「レーナは文字が読めるのか?」
問い掛けたのはブロードさんだった。私の様子から、気付いたようだった。
「はい」
「そうか! それは良かった!」
ブロードさんはまるで、我が事のように喜ぶ。その優しさが、少し照れくさく感じた。
私は落ち着かなさを隠すように俯いて、膝上で手指をキュッと絡めた。
「それでブロード坊ちゃん、遣いはどうする? 儂の方から宰相あたりに、報せをやるか?」
宰相に、報告?