身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

 ドリアス牧師から飛び出した反逆罪という台詞に衝撃を受けた。

 同時に、ブロードさんの提案がいかに私を遇したものだったかが知れる。

「ドリアス牧師、将軍である俺が対象者であるレーナの状況を鑑みて決めた。誰にも追及などさせん」

 しかしブロードさんは、断固として言い切った。

「……うむ。ブロード坊ちゃんがそこまで言うのであれば、儂が何を言う事もない」
「レーナ、何も心配いらない。レーナは俺の屋敷でゆっくり過ごしてくれればいい」

 ブロードさんはそう言って、私に朗らかな笑みを向ける。
 だけど私はその笑みに、即座に頷く事が出来なかった。

 だってブロードさんのする提案は、私にばかり都合がよすぎる。ブロードさんがリスクを冒してまで私を優遇してくれるのは、何故?

「レーナ? いや、……もしレーナが男の屋敷に抵抗があるならば、軍の女性用宿舎に部屋を用意してもいい。女ばかりとは言えなかなか癖の強い面々ばかりなのが難点で、あまり落ち着けないかも知れんが」

 私の沈黙を、ブロードさんは異性との同居に対する抵抗と捉えたようだった。
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