身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
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……なんだ?
軍に身を置き、これまで数々の修羅場を潜り抜けてきた。
けれど教会を前にした今、かつて感じた事のない身を焼くような焦燥を感じていた。
鼓動が胸を突き破りそうに速く強く刻み、ピリピリとした緊張感が全身を支配する。
全神経が教会に集中していた。
一刻も早く辿り着きたくて、心が急いた。それはまるで、目に見えない何かに引き寄せられているかのようだった。
愛馬を降りると、逸る心のまま礼拝堂に駆けた。
「ブロード様、一体どうしたんですか?」
常になく焦った俺の様子に、アボットが怪訝そうに声を上げるのを背中に聞く。けれど俺にはもう、答える余裕などなかった。
礼拝堂の前に辿り着くと、両開きの扉を押し開ける。かつてないほどに、鼓動が大きく打ち付けていた。