身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
「レーナ、俺はレーナに何かさせようなど露程も思っていない」
けれど、ブロードさんは私の言葉をなんでもない事のように一蹴する。
「それでも何某かの縁があって、俺が最初にレーナを見つけた。そうして俺こそが、レーナを手元に置きたいと望むのだ。だからレーナは、なにも気負う事はない」
ブロードさんがくれたのは、この上もなく優しい言葉。何かの縁と、その一言で私という異端を受け入れる。
「ブロードさん、ありがとうございます」
他に寄る辺がないのだから、私はブロードさんの厚意に甘える。
だけど私にも、何か出来る事を探そう。屋敷の手伝いだっていい、出来る事で少しでも恩を返していくんだ。
車窓から移ろう景色を眺めながら、私は一人、決意を新たにした。