身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
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昨日、屋敷に到着してからも、レーナは少なくとも表面上は、とても落ち着いていた。
けれど、見知らぬ地に身ひとつで投げ出されたその不安は、推し量って然るべきだ。
「すまないなレーナ。俺は出勤するが、何かあれば遠慮なく侍女でも家令でもいい、言ってくれ」
本音を言えば、しばらくレーナに寄り添って過ごし、レーナの不安を払拭してやりたかった。
「ブロードさん、ありがとうございます。私の事は何も心配いりませんよ。お仕事頑張って下さい。気を付けていってらっしゃい」
「あぁ、いってくる」
しかし俺の状況がそれを許してはくれず、俺は後ろ髪を引かれる思いで軍に足を向けた。