身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
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将軍であるブロードさんは、とても多忙だ。屋敷に私を引き取ったその日こそ休みだったけれど、翌日には朝から慌ただしく出勤していった。
その姿を見るに、日がな一日する事もなくお客様待遇で過ごす自分が、なんだか申し訳ない気分だった。
ブロードさんの出勤を見送った私は、侍女の勧めで庭に散策に出た。するとなるほど、屋敷裏の庭は、侍女の言っていた通り、今が盛りと花々が咲き誇っていた。
美しい花々は、心を和やかにしてくれる。
私はゆっくりと庭を散策した。
そしてちょうど庭を一周したところで、数人の子供たちに行き会った。
「あー! ブロード様のお客様!?」
「うわぁ! ほんとに髪も目も黒い!」
「それ、本物!?」
子供たちは無邪気で、言葉を飾る事をしない。けれど、今はその含みのない率直さが嬉しくもあった。