身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

 先日、軍幹部との会談の席で、長年勤めた助手が辞めてしまい困っていると、軍医のクレイグスが零していたのを思い出した。

「医師の、助手ですか!?」
「ああ」

 クレイグスは元々町医者だったが、腕の良さを見込んで軍医として引き抜いた経緯がある。

 患者に対して責任感の強い医師で、軍医となった今でも、クレイグスは町医者時代から馴染みの患者に頼られれば継続して診療していた。

 本来なら容認できないが、クレイグスに対してはそれを黙認している。それだけクレイグスは医師として確かな腕を持っていた。

 そんなクレイグスの助手は町医者時代から、クレイグスよりも高齢のかくしゃくとした老婆が務めていた。
 老婆は患者の手足が吹き飛んで無かろうが、まるで動じない猛者だった。

 改めて目の前に向かい合うレーナを見下ろす。

「いや、やはりこの話は……」

 吹けば飛びそうなレーナを目にし、やはり助手は難しいだろうと思い直した。
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