身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
予想外の展開に、俺はただ茫然としていた。
けれど俺だけでなく、助手の職を望んだレーナ自身も困惑しているように見えた。
「私、実務に関しては未経験で……」
「なに、実地の方は段々と覚えていってくれれば構わん。お嬢ちゃんは負傷者の手を握って励ましてやればいい。それだけで負傷者の心は癒される。後はそうじゃ、儂にお嬢ちゃんの知識を教えてくれ!」
「私が教えるなんて、とんでもないですっ!」
結局、とんとん拍子にレーナはクレイグスの助手に収まってしまった。
紹介したのは、他ならぬ俺自身。けれどこの段になって、俺の胸に一抹の不安が過ぎる。レーナを紹介した事は、果たして正しかったのか。
俺の不安はそれから僅か三日後、辛くも現実の物となってしまった――。