身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい


「……レーナは?」
「一人にして欲しいとおっしゃられ、それからずっとお部屋におられます」

 午後の執務に調整を付けて帰宅した俺は、クレイグスから直接事情を聞いた侍女長から報告を受けた。なんとクレイグスは、自らレーナを送ってきたのだという。

 その状況と暗い侍女長の表情から、容易にレーナの悲痛な様子が想像できた。

「そうか……」

 俺は迂闊な判断を後悔した。

 元の世界から切り離されて、突然見も知らぬ場所に放り出された。レーナが普通の精神状態でないのを、俺は間近に見て知っていた。

 何か役に立とうと、何か役目を熟そうと、そんなレーナの気負いに俺は気付いていた。なのに、レーナの懇願に負け、安易にクレイグスの助手に据えてしまったのは俺の浅慮だ。

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