ネェ、オレヲアイシテ? Ⅱ~Buddy or Family~
「え、何だそれ?」
空きっぱなしのドアから、冷たい風が吹き抜ける。
「あれ、知らねぇの?」
素っ頓狂な声を上げた俺を、翔真は不思議そうな顔をして見つめていた。
「……俺、小6で親に捨てられた」
「あー、そういうことか。なるほどねぇ。……翼咲の親って、やっぱお前の親だなぁ。結構不器用なのな、お前に似て」
勝手に、自己完結したように翔真は言う。
「…………どういう意味だよ」
「……小学校の卒業式の日にお前の母親が働いてる会社が倒産して、まぁお前を養う金が無くなったんだよ。それで捨てて、お前を誰かが拾ってくれるのに期待したんだろ。
現に今、お前誰かに拾われてそうやって生きてるじゃん」
倫理観も何も無い、無茶苦茶な話だった。
「……なんだよそれっ、そんなん間違ってるだろ。言ってくれれば……っ」
ポロポロ涙がこぼれてきた。
「食事も用意出来ないで貧乏な生活させるくらいだったら、誰かの家に行かせた方が幸せだと思ったんじゃねぇの?」
あの親は、俺を本当に嫌ってなんかなかったんだ。
……今更、どうしようもなく、母親に会いたくなった。
俺のことを嫌ってるんだと、ずっと思ってたのに………。