ネェ、オレヲアイシテ? Ⅱ~Buddy or Family~
リハビリ室の前の方に、兄さんがいた。
腰まで伸びた黒くて長い髪が隠していて、顔はよく見えなかったけれど、兄さんなのは言われなくたってわかった。
……だって、大好きなのだから。
少しずつ元気になったからなのか、160センチくらいに身長が伸びた兄さんが、リハビリをしていた。
平行棒を両手で掴んで、ゆっくりと、でも確実に1歩ずつ歩いていた。
それだけで、泣きそうになる。
もう一生一緒に出かけられないかもしれないって、目覚める前はそう幾度と思った。
そんなことないよって、そう言われてるみたいだった。
嬉しくて、胸が熱くなって、俺はただ立ち尽くしてしまう。
「……暁にぃっ」
俺は、小声でそう言った。
俺と翼にぃに気づいたのか、兄さんは顔を上げて、柔らかく微笑んだ。