ネェ、オレヲアイシテ? Ⅱ~Buddy or Family~





形式だからって、わざわざ着替えた制服が涙で濡れた。




後悔したって、もう遅い……。





10年経ったって、母さんと父さんの顔も声も
鮮明に思い出せる。



忘れたことなんて無い。



白龍に出会うまでは、いつもいつも、家族4人で過ごした平和な時間と喰蝶に両親が殺されて、兄さんが植物状態にされた映像ばかり夢に見ていた。




後……利亜さんに監禁された夢も。



喰蝶の夢も、利亜さんの夢も、もう見なくなった。


でも、あの時出来た心の傷だけは……忘れたことなんてない。




『可愛い私の妖斗』


母さんは、よくそう言っていたのを覚えてる。





『妖斗!!』



父さんが、元気いっぱいに声を上げて俺を呼んでたのもよく覚えてる。





泣いたって泣いたって、もう会えない。








それでも、……どんなに寂しくても、






俺達は生きなきゃいけないんだ。











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