もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開



全員クレープを食べ終わると、駅前で解散して拓叶と二人で駅前を歩く…────


円ちゃんは電車で帰っちゃったし、漣くんは親からの買い出し連絡で行っちゃった。


でも、初めてのクレープ美味しかったな。

思い出しただけで少しニヤけてしまう。



『藍…?』



ふと、懐かしい声に顔を上げた。


そこには…



「りゅう…や…くん?」



染められた茶髪にピアス…

黒髪で落ち着いた容姿だった龍也くんの姿はもう…何処にもなくて。



「誰ー?この子?」


『あぁ、元カノってやつ?
ちょっと優しくしただけですぐ付き合えたんだけどさ、まぁ…うざくなったわけだよ』



隣の茶髪の派手メイクの女の人が龍也くんの腕を引いて、自分の胸にわざと当てた。


上から下まで、舐められるような目付きであたしを見た彼女。



『ちょっと、あんた』


「いいよ、拓叶…」



いい。

もういいの…



『何、お前?藍の彼氏?』


「そ、そうだけど」


『ははっ、そいつすぐヤらしてくれただろ?
ほんと、今思い出すと笑えるんだけど』



龍也くんはあたしの頬を触った…



「嫌っ…」



足がガクガクして震えた…


息が上手く吸えない…


『藍、ほら…もっと…』


あの時の龍也くんの声が一気に頭を埋め尽くす…


ダメ…



『勝手に藍に触んじゃねーよ』



パンッと、龍也くんの手を払った拓叶…



『は?』


『藍、行こ』



はぁはぁはぁはぁはぁはぁ……


息が吸えない…


声が出ない…


怖い…





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