もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開




暗い夜道を息を切らしながら走って家に着いて、ドアを開けた…



「ただいま…」



その声に拓叶はすぐに駆け寄ってきてくれたかと思うと、ぎゅっと抱きしめられた。


あの日と逆だ…



『おかえり…藍』


「ふふっ、どうしたの?」


『寂しかった』


「へ?」



思いもしなかった言葉にびっくりした。


ねぇ…

それは、あたしと居る時間に慣れたって考えてもいいの?


拓叶が家で一人でいることが当たり前だったことが、あたしが一緒に住んだこで、当たり前じゃなくなったって事だよね?



『久しぶりに思い出した…
家にずっと一人にさせられてたこと。』


「え…?」


『一人が当たり前だったのにな…
ごめん…、ご飯食べる?もう出来てるから』



拓叶は一瞬さらに強くぎゅっと抱きしめた後、あたしから離れた。


家にずっと一人……


拓叶のそんな寂しそうな後ろ姿、初めて見た…







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