もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開




落ち着いた拓叶の頭を肩に寄せた…



『はぁ…ごめん。
あの時の光景が鮮明に脳裏に焼き付いててさ…』


「無理しなくていいよ?」



すると拓叶は首を横に振った。



『包丁を見たり、握ったりするのに1年はかかったよ』



目の前で包丁を自分に向けて刺すお姉さんを見たんだ…

そりゃ…脳に残るよ。



「…うん」


『姉が死んだ後、俺は施設に入れられた。
そこで俺と同じような人をたくさん見たよ…って、施設に居たのは去年までだけど』


「ってことは、今年から一人暮らしを?」



子供の施設は大体が18歳までしか居られない。

つまり、高校生までの間は居られるのに。



『うん。
俺が中3で姉が17歳で死んだから、施設は2年程しか入ってない』


「17…丁度あたし達の歳だ…」


『そう。
施設に連れて行かれる最後の時、母さんは俺に何と言ったと思う?』


「へ?」



つまり、別れ際ってこと…




『「あんたは人を幸せになんてできない。
美帆と一緒に死ねば良かったのよ」ってさ。』



そう拓叶は笑って言った…



「酷い…」






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