もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開



ー拓叶 sideー


藍が風呂に入っている間、ベッドに仰向けになって静かに泣いた…


さっき藍に言われた言葉。

あの言葉を誰かに言われるのをずっと、待っていたのかもしれない。


俺の話しを静かに聞いてくれた藍。

一歩も引かずに、俺の手をぎゅっと握ってくれた。


それだけで救われた…


藍がバイトの間、久しぶりに味わう一人の感覚が怖かった。

小さい頃よく家に一人にされて、やっと帰ってきたと思って母さんのところに行くと、ヒールで蹴られたっけ。


もう、あの苦しみから解放されて二年が経つ。

姉が死んだから、解放されたみたいなものだ。

姉、一人の命の犠牲があって、今の俺が生きていられている。


まだ17歳だった姉と同い年になった今、よく姉が目の前で死んだ夢を見る…

飛び散る血、真っ赤な血…

生々しい血の匂い…姉の涙。


望まれた姉と望まれなかった俺。

なぜ、望まれなかった俺が生きてんだよ…

って、時々思って胸が苦しくなる。


“誰も幸せにできない”か。

それは前の俺に向けられた言葉。





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