もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開
「風船…」
『そ、風船だった。
ほんと、知らないことばかりで幼稚園や小学校は大変だったよ。』
拓叶…
『毎日、「あれ何?これ何?」って先生や友達に聞くとさ、クスクス笑って「そんなことも知らないの?これはね」って。』
もう聞いているのが辛くなって、気付けば拓叶をぎゅっと抱きしめていた。
『藍?』
「…この気持ち、なんて言ったらいいのかわからない。
ただ、拓叶を…」
『ありがとな?』
抱きつくあたしの頭を撫でてくれた。
パッと顔を上げると拓叶は悲しそうに笑っていて…
『藍の優しさが、今の俺を癒してくれる』
「ほんとに?」
『うん。
ごめんな、こんな話…』
「うぅん。
もっと…拓叶を知って理解したいって思った。
綺麗事かもしれないけど…」
『うぅん。
その気持ちだけで嬉しいよ』
そう言うと拓叶は嬉しそうに笑ってくれた。
好きな人だから、もっと知りたい。
少しずつでいい。
心の傷に寄り添えられれば…って。