もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開



拓叶…拓叶…


怖いよ…助けてよ…


そして気が付くと龍也はあたしを胸元へと引き寄せて、抱きしめていた。



「離して!!…怖い…あたし…」


『ごめん、友紀…ありがと。』


『…うん。
龍也の頼みなら…ね。
ごめんね、杉崎さん』



榛名先輩は一人、路地裏から歩き出してしまった…


榛名先輩…!!


椎名先輩の背中が見えなくなり、この空間にいるのは龍也くんだけなんだと、再認識してより恐怖が心を乱す。



「はぁ…はぁ…はぁ…っはぁ…」



心臓がバクバク鳴って今にも破裂しそうなぐらいで…全身が震えて…


抵抗するにも、抵抗出来なくて…



『藍…ずっと、話したかった。』


「やだ…」


『あぁするしかなかったんだよ!!』



力強く放たれた声が路地裏に響いた…


その時、あたしを抱きしめる腕が震えているのがわかった…


え…?


その反応を見て、自分の震えが徐々に治まり、呼吸の乱れが少なくなった…



「龍也…くん?」



力なく、下ろされた両手…





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