もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開
パッと目が覚めると、見知らぬ天井で…
隣には、壁を背にして腕を組んで寝ている内山くんが居て…
保健室…?
あたし、そういえば倒れたんだ。
じゃぁ、内山くんがここまで運んだってこと!?
瞬間的に内山くんを見ると、スースーと小さな寝息を立ていて、また目を閉じているせいか、まつ毛が長く見えた。
爽やかイケメン内山くんの寝顔…
目にかかる少し長い前髪
艶のある綺麗な黒髪
薄い唇
いつも見せないズラしたネクタイ
半袖のカッターシャツから伸びる、細くて綺麗な腕…
そりゃ、イケメンって言われるか。
『…ん、起きた?』
「うん…ありがとね」
『悪かったな…』
「気にしないで。
…今までに遊んだ男はみんな、アザを見て逃げ出したよ」
非日常的な姿だもんね。
普通の生活をしてたら…こんなことない。
みんなの普通が羨ましくて堪らない。
『もう切れよ…
そんな切れるって分かってる男と遊ぶなよ…』
「…やっぱり、龍也くんの気持ち理解できないや。」
人を傷付ける行為を平気でやるなんて。
今まで数人、互いに遊んで遊ばれてきたけど楽しくなんてなかった。
きっと、心の中で楽しそうに笑ってた龍也くんとはまた違う気持ちになった。
「ごめん。こっちの話し」
『…』
「帰ろ?もう18時過ぎてる」
『…あぁ』
ベッドから起き上がって、上履きを履こうとした瞬間、体制が崩れてしまった…
『…っと、大丈夫かよ』
慌てて、内山くんがあたしを支える形となって、抱きしめられるようになってしまった…─
「ごめん」
『お前、ちゃんと食ってる?』
「…」
『やっぱりな…
ちゃんと食わねーと、治る傷も治んねーぞ?』
「…うん」
いつもほとんど食べない。
夕飯を出された記憶なんて遠い昔だ。
仕事のストレスを発散するかのように、リビングはいつも散らかってる。
普通って…なんだろ。
これがあたしにとっての普通の暮らし。