もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開




藍も、あの人に真剣に恋してたんだもんな。


でも、これで藍のトラウマからの身体の震えは無くなるな…


隣で守ってあげなきゃなんねーのに。

俺がこんなんじゃ、藍の笑顔を減らしてしまう。



「はぁっ、はぁ…拓叶!!」



その声にゆっくり目を開けると、肩を上下に動かせて息をする藍がいた。



「人混み大変だね…
抜け出すのなかなか大変だったってえぇ!?」



藍の手を引いて立ち上がり、ぐっと抱きしめた。


俺のために…たった水一本のために、藍は必死になって探してくれたんだろう。



『ありがと…』


「もう…変なの。
ほら、水飲んでゆっくり休も?」


『…うん』




藍は俺の手を引いてベンチに座らせると、冷たい水を俺に渡した。


受け取ると、藍は隣に座って俺に持たれかかった。



「早く元気になって…」


『うん』



キュッとペットボトルの蓋を開けて冷たい水を飲む。


するとだんだん汗が引いていく気がした。



「拓叶…好き」


『…待って。
今はそれ、ダメ』


「えぇ!?」



起き上がって俺を見る藍の目を必死で逸らす。



『平常心保てなくなる…から。』


「へ?」


『今すぐ、藍を襲いたい。』


「…ば、ばか!!」



そう言って立ち上がった藍は後ろを向いてしまった。


ははっ、可愛い。


もう一度、ペットボトルの水を飲んで後ろから藍を抱きしめる。



『ごめんって。
で、どこか気になる屋台あった?』


「…大丈夫なの?」


『大丈夫。
心配かけてごめん』


「また気分悪くなったら言ってね」


『うん』



ほんと…好き過ぎて困る。


心の底から藍が好きだ。




─拓叶 side end─




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