もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開
>>傷ついた心の行き場。
夏休み直前の期末テストまで一週間を切った今日は、お昼休みになると内山くんの周りには数学のワークを持った女の子で溢れている。
「拓叶くん、ここ分からなくて…」
『はは、これは意外と簡単だよ!
ココとココをね、こうやると…』
「わ、ほんとだ!!解けた!!」
『でしょ?』
「わ、ズルい!
ねぇ拓叶くん、私も教えてよー!」
という、声が飛び交っている…
女の子みんなに優しくて、頭が賢くて、面倒事を笑顔で引き受ける…そんな彼。
『ったく、なんで内山ばっか』
「伊織も女の子に教えたいの?」
『ば、バカ…違ぇーよ!』
女の子に囲まれている内山くんを見て、伊織はボソッと心の声を零した。
きっと、伊織のことを好きな子ぐらい居る。
だけど、あたしと絡んでいるから近寄りずらいのかな…
「そうだ!
食べ終わったら数学教えてよ!」
『数学?まぁ、得意だけど…』
わざと少し大きな声で言ってみた。
伊織も数学が得意なんだよ!って。
女の子があたしと良く絡んでいる伊織を嫌わないため。