もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開
伊織はメロンパンの最後の一口を頬張るのを見て、机から数学のワークを広げた。
『藍は今日も食べないの?』
「…うん。」
『お前なぁー、そろそろ』
「ココ!ココ教えてよ!」
わざと話を変えると、伊織は呆れ顔でシャーペンを握ってあたしが適当に指差した問題を見た。
ごめん。
でも、食欲なんてほとんどないから。
『わ、この問題応用じゃんか…』
『杉崎、俺が教えようか?』
ん〜と頭を悩ましていた伊織を煽るかのような口振りで、内山くんがあたしの顔を覗き込んだ。
当然、教室中がシーンと静まる…────
嫌われ者のあたしに、クラスの人気者である爽やかイケメン内山くんが話しかけてきたのだから。
「ちょ…」
なんで入ってくるのよ…!?
教室中のみんなの視線が突き刺さる…
やめて…見ないで…
背筋が凍るような気持ちになる。
『…だってさ。藍…藍?』
ゆっくり席を立った伊織…
『…藍!?』
「うっわ、何アレ?」
「震えてるんだけどー」
「ねぇ、拓叶くんこんなやつほっといてさー」
…やめ…て。
『っ…!!』
そんな声が飛び交う中、バッとあたしの手を引いて伊織は教室をズカズカ飛び出した…