もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開
再婚までは伊織から知らされていた。
だけど…まさかの妊娠?
新しい場所で新生活?
…家族って…なんだろ。
お母さんって…なんだろ。
「…ひくっ…ひくっ…」
次々から込み上げる涙が、大粒となって頬を伝っていく。
自分から逃げた家なのに。
本当に全てを失うなんて、思ってもいなかった。
お母さんが頭を冷やして、あたしに戻って来ていいよって言ってくれる日が来るんじゃないかって…
心の何処かで期待してた自分もいた。
『藍、何があった?』
泣くあたしの前にしゃがみ込んで、拓叶はそっと頬に触れて指先で涙を拭ってくれた。
…ダメ。
そんな優しい顔しないでよ。
拓叶はあたしが握っていたメモを取って目を通すと、そのメモを握り潰してあたしを胸元へ引き寄せた。
「たく…と…」
『泣いていいから…』
「うぅ…ひくっ」
『親って…ほんと、身勝手だよな。
自分より、子供の幸せを最優先にするのって傍から見たら理想な家庭って思うけど…実際、なかなか難しいよな。』
優しく背中をトントンと、叩いてくれる拓叶…
あたしはただ、拓叶の胸の中で泣きじゃくることしかできなくて…
どうしてこんなに涙が溢れるのかさえ分からない。