もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開
─拓叶 side─
文化祭2日目、藍の楽しむ笑顔がたくさん見られたと思ったのに…
その笑顔は消え去り、泣きじゃくる藍の姿が見ていられなくてぎゅっと抱き寄せた。
小さなメモに書かれていた親の身勝手な行動。
自分が腹を痛めて産んだ子にも関わらず、何の反省点もなしに、再婚、妊娠、挙句の果てに新しい場所でやり直しているって。
あまりにも勝手過ぎるだろ…!!
本当に…一人になった藍。
俺と…同じ。
でも…
『…帰るべき場所…あんだろ。』
「え?」
『俺のいる場所が、藍の帰るべき場所。』
家庭だけが、帰る場所じゃないだろ?
他にもあっていいだろ?
「拓叶…」
『藍を絶対幸せにするって決めてっから。
なぁ…それじゃダメ?』
抱きしめる力を緩めて、藍を見ると涙で目は赤いは、頬は赤いはで…って
『藍!?』
勢いよく抱きしめられてバランスを崩し、藍が俺に覆いかぶさるように倒れた。
「…ほんと、ズルい」
『へ?』
「…拓叶の傍に居させて。」
上に覆い被さった藍は、俺の目を真っ直ぐみつめてそう言った。
『…ははっ、何改まってんだよ?』
「だ、だって…!!」
『頬…赤い』
下からそっと藍の頬に触れると、藍の顔や耳はみるみる赤くなって…いじめたくなる。