もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開



家に帰っても、キラっと輝く薬指のリングを見ていると、拓叶は後ろからあたしをぎゅっと抱き寄せた。



「拓叶?」



その手にそっと拓叶の左手が重ねられて、手を握られる…



『ほんとに、気に入ってんだな』



どこか可笑しそうにクスッと笑う拓叶。



「そりゃ、大好きな人からのプレゼントだからさ」


『…いつか、ちゃんとした指輪渡すから』


「そんなのいいよー?」



あたしのお腹周りに添えられた手をぎゅっと握る。


すると、拓叶の顔が肩に乗せられた。



『待っとけよ…結婚指輪』


「へ?」


『ははっ、ほら、テレビ付けようぜ!』


「え…えぇー!!」



恥ずかしがり屋の拓叶はいつも、すぐに話を逸らす。


テレビを付けて、また、ぎゅっとあたしを抱きしめる。



「ありがとね。」


『…ははっ』



家族が居なくても、暖かいこの家。

親がいないから、全然“可哀想”じゃない。

親と別れて、救われる子も中にはいる。




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