もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開
不甲斐なく泣いたあと、そのまま5.6限も教室には戻らなかった。
いや、戻れなかったんだ。
6限終了のチャイムがなった後、伊織を部活に行かせて、あたしは教室に鞄を取りに行くことにした。
6限終わり、騒がしかった廊下も静まって今では部活の掛け声が外から聴こえる…
《ガラガラッ》
「えっ?」
そこには内山くんだけが教室に残っていて…
自分の机で寝ている内山くんに近付くと、目に入ったのは血が付いた傷だらけの右手…
なんで?
鞄を適当に置いて、足早に保健室まで駆け込んみ、滅菌ガーゼと消毒液と包帯を先生から貰って、また教室まで走った。
誰かのために走ったのって…久しぶり。
切らした息を整えて、そっと内山くんの手に触れる…
すると身体がビクッと動いた。
『ん………って、杉崎!?』
目の前のあたしにびっくりして、目を丸くして驚いた内山くんの表情がどこか可愛くて…
クスッと笑ってしまいそうになった。
「何があったか知らないけど…じっとしてて」
傷口に滅菌ガーゼを当てて、消毒液を付けて新しい滅菌ガーゼを当てる…
『痛っ』
「もう終わるから」
ガーゼの上からガーゼがズレないように工夫して包帯を巻いていく…
誰かに手当てしたのも…久しぶりだ。
「よし、これで大丈夫。
右手、使えないけど…」
『ありがと…な』
こんなに右手が擦り切れて血が出ていたのに、誰にも手当てされてないことから、あの後何があったか大体想像が付く。
きっと、悪口を言う女の子に冷たく言葉を放ったのだろう。