もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開


…───────


内山くんは自転車を押してあたしの隣を歩いて、学校を出てからの坂道を下っていく…


…帰りたくない。


これが正直な答えだった。


家にも学校にも、自分の居場所がないあたしからすると、まだ学校に居る方が気が楽だ。



『な、俺の後ろ乗れよ?』


「へ?」



自転車に乗って、内山くんは親指で後ろを指す…


乗れって言ったって…スカートだし、てか自転車の二人乗りって違反…



『ほら、早く』


「…もう、しょうがないな」



内山くんの後ろに乗るの、内山くんは悪戯げに笑った。



『手、腰に回さなくていいの?
振り落とされても知らねぇよ?』


「手!?え…」


『早く』



あーもう!知らない!!


どうにでもなれ!!


目をぎゅっと瞑って、内山くん残しに手をグッと回す…



『…よく出来ました』


「…バカにして、って、わ!!」



勢いよく坂道を下る自転車はまるでジェットコースターみたいで…



『ちゃんと捕まってろよ!
あと、目、閉じてんなら開けろ!』


「む、無理!」


『無理じゃない、ゆっくり開けろって』



その言葉に仕方なく、ゆっくり目を開ける…


すると、目の前には真っ赤な夕焼け空が広がっていた…



「綺麗…」


『だろ?』


「うん」



いつもなら見上げて見る夕焼け空なのに、勢いよく下って見るとではまた全然違う。


こっちの方が格別だ…


すっごく、綺麗…





< 32 / 276 >

この作品をシェア

pagetop