もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開



いつも一人で楽しくない食事と違って、楽しい食事は一瞬で終わってしまった。


お腹いっぱい、美味しいものを食べた満腹感もいつぶりか分からない。

お皿を洗うことすら…


いつも、電子レンジで温めるものはどれも出来合いものだ。

だから当然、プラスチックの容器だから洗うと言ってもさらっと、水洗いする程度。


たくさんのお皿を洗うことってなかなか体験出来ないから、「今日突然お邪魔させていただいたお礼に、洗い物をさせて下さい」と告げて台所へ立った。


西山さん達は「いいのに」って言ってくれたけど、洗いたい気持ちが大きかった。



スポンジに泡を付けて、クシュクシュするとあっという間にスポンジがあわあわになって…



『俺も洗うよ』



隣に腕まくりをした内山くんが現れて、もう一つあるスポンジを手に取った。



「いや、いいよ?
あたし、一人で洗うから座っててよ?」


『これぐらい、させてよ』



そう笑って、お皿を洗っていく内山くん。


なんか…同居したらこんな感じなのかな。

なーんて、変なことを考えてしまった。


両親が台所に立つ姿なんて、見たことがないけど。

普通の家庭って…どうなのかな?


あたしが今まで体験してきた普通と、みんなの“普通”は違う。


普通ってなんだろう。




『ゆいちゃんの家は、まだ小学校低学年なのに、毎日のお弁当すらないんだよ。』


「え?給食は?」


『親が給食費を払っていなくて、食べさせてもらえないんだ』



ポツリと語り出した内山くんからの、ゆいちゃんの家庭事情。


教室で一人、給食を食べれなくて、お弁当すらないの?


そんな…酷い。



「酷すぎる…」


『りょうたのところは、母親の育児放棄で初めて会った時は驚くぐらい痩せてたよ』


「そんな…」



あんなに二人とも笑っているのに、そんな家庭事情が…





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