もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開
寝間着に着替えてリビングに行くと、拓叶はドライヤーを持ってきてくれた。
「先にごめんね、お風呂」
『いいって。
それより、早く髪乾かさねーと風邪ひくぞ』
「あ、うん。」
『座れよ?俺が乾かしてやるからさ』
え?
言われるがまま座ると、ドライヤーの電源をオンにする音が聞こえて、温かい風が吹いた。
髪を触る拓叶の指…────
これってまるで…カップルみたい。
そう思うと気恥ずかしくなって、頬を両手で触る。
『なに、照れてんの?』
「恥ずかしい」
『誰も見てねーじゃん』
「そういう訳じゃなくて…」
『なぁ、髪ずっと短いの?』
あたしの短い髪を下から上に持ち上げながら、わしゃわしゃと動かす拓叶の手がくすぐったい。
髪の長さか。
「中学までは長かったよ。」
『失恋して髪切ったとか?』
「うっ……」
『マジかよ…ごめん』
そうだ。
龍也くんと別れてすぐ、胸まであった髪をバッサリ切ってしまった。
元はと言えば、龍也くんのために伸ばしていた髪だったから。
『俺、ロングが好きなんだよね』
その一言で伸ばしに伸ばした。
だんだん、髪が長くなるにつれて龍也くんとの距離が縮まった気がして嬉しかった。
…懐かしい。