もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開



好きな人をぎゅっと抱きしめられるって、幸せなことだなって改めて実感した。


まぁ、俺の一方的な片想いだけど。


まさか一緒に住めるなんて、夢にも思わなかった。


でも、これで藍の周りの環境は大きく変えられた。


だけど、こうして疲れてぐっすり寝ている藍の心は穏やかではないはずだ。

親に捨てられるって、心に相当なダメージが課せられる。

親を憎まずにいられなくなって、苦しんで、愛に飢えて…自分までもが生きる意味を失う。


そっと右手を天井に伸ばす…



「拓叶…?」


『起こしたか』



ふと胸元に目を落とすと、藍の瞳と視線がぶつかった…



「ごめん、寝ちゃってた…」


『ごめんって言葉、禁止にするぞ?』


「なんで?」


『ごめんって言いすぎだっつーの』



そう右手で藍の頭を撫でた。

どうしてこんなにも藍に触れたくなるのだろうか…?


ずっと触れていたいし、側に居てほしい。


ねぇ、俺のわがままに付き合ってよ…



『そんな目でみつめられたら、襲いたくなるんだけど?』


「なっ」


『ははっ、今はまだ我慢する』


「今はって!?」



なぁ、俺にもっとお前のこと教えてよ。


もっと、藍が知りたい。


俺じゃ、頼りない?




─拓叶 side endー






< 63 / 276 >

この作品をシェア

pagetop