もっと、めちゃくちゃにして。←ベリーズカフェ限定公開
好きな人をぎゅっと抱きしめられるって、幸せなことだなって改めて実感した。
まぁ、俺の一方的な片想いだけど。
まさか一緒に住めるなんて、夢にも思わなかった。
でも、これで藍の周りの環境は大きく変えられた。
だけど、こうして疲れてぐっすり寝ている藍の心は穏やかではないはずだ。
親に捨てられるって、心に相当なダメージが課せられる。
親を憎まずにいられなくなって、苦しんで、愛に飢えて…自分までもが生きる意味を失う。
そっと右手を天井に伸ばす…
「拓叶…?」
『起こしたか』
ふと胸元に目を落とすと、藍の瞳と視線がぶつかった…
「ごめん、寝ちゃってた…」
『ごめんって言葉、禁止にするぞ?』
「なんで?」
『ごめんって言いすぎだっつーの』
そう右手で藍の頭を撫でた。
どうしてこんなにも藍に触れたくなるのだろうか…?
ずっと触れていたいし、側に居てほしい。
ねぇ、俺のわがままに付き合ってよ…
『そんな目でみつめられたら、襲いたくなるんだけど?』
「なっ」
『ははっ、今はまだ我慢する』
「今はって!?」
なぁ、俺にもっとお前のこと教えてよ。
もっと、藍が知りたい。
俺じゃ、頼りない?
─拓叶 side endー