龍使いの歌姫 ~幼龍の章~
二つの民
紅花村(こうかむら)。そこは、竜を飼育することが許された村。
紅花村では、竜を卵から育てる決まりがある。
「さて……早く生まれろよ」
卵が沢山並べられた温室で、濃い髭を生やした男は笑っていた。
「お父さん!」
「ノノン。ここに来るなと言っただろ。外で遊んでこい」
ノノンという名前の幼い少女は、父親に言われ唇を尖らす。
「……はーい」
とぼとぼと温室から出ると、大きなため息を吐いた。
「はぁ………今日こそ竜の赤ちゃん見れるかと思ったのに」
物心ついた時から、竜は身近な存在だった。一度だけ竜の赤ん坊を撫でたことがあったが、ざらざらしていて触り心地はいいとは言えない。
それでも、可愛らしくて夢中だった。
だが、暫くして売られてしまったらしい。
ノノンは竜が卵から生まれる姿を見たくて、父親に頼み込んだが、父親はいつも「子供には早い」と言って、仕事場には入れて貰えなかった。
ふて腐れながら、お気に入りの森へと歩く。
他の子供達とは遊ばない。何故なら他の子達よりも、自分は大人だと思っているからだ。
子供っぽい遊びよりも、父親のように竜を飼育する方がいい。
育てるということに、ノノンはとても興味があった。例えるなら、野良の犬や猫を可愛がるような気持ちだ。
竜は滅多に暴れないし、動かない。だから、怖くもなんともない。
前に父親は「竜は凶暴な生き物だ」と言って、大人の竜に近付くなと言われたが、どこが凶暴なのかもさっぱりだ。
(私だって、その気になれば竜を飼い慣らせるもん)
一回でも世話をさせてくれれば、証明できるのにと頬を膨らます。
「今日は何をしようかな?」
ノノンがそう呟くと、目の前の茂みが揺れた。
「!……何?」
もしや猪だろうか?それとも狼だろうか?
足が震え、ノノンは立ち尽くす。すると、茂みはいっそう大きく揺れた。
そして、次の瞬間金色の生き物が飛び出してきた。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
紅花村では、竜を卵から育てる決まりがある。
「さて……早く生まれろよ」
卵が沢山並べられた温室で、濃い髭を生やした男は笑っていた。
「お父さん!」
「ノノン。ここに来るなと言っただろ。外で遊んでこい」
ノノンという名前の幼い少女は、父親に言われ唇を尖らす。
「……はーい」
とぼとぼと温室から出ると、大きなため息を吐いた。
「はぁ………今日こそ竜の赤ちゃん見れるかと思ったのに」
物心ついた時から、竜は身近な存在だった。一度だけ竜の赤ん坊を撫でたことがあったが、ざらざらしていて触り心地はいいとは言えない。
それでも、可愛らしくて夢中だった。
だが、暫くして売られてしまったらしい。
ノノンは竜が卵から生まれる姿を見たくて、父親に頼み込んだが、父親はいつも「子供には早い」と言って、仕事場には入れて貰えなかった。
ふて腐れながら、お気に入りの森へと歩く。
他の子供達とは遊ばない。何故なら他の子達よりも、自分は大人だと思っているからだ。
子供っぽい遊びよりも、父親のように竜を飼育する方がいい。
育てるということに、ノノンはとても興味があった。例えるなら、野良の犬や猫を可愛がるような気持ちだ。
竜は滅多に暴れないし、動かない。だから、怖くもなんともない。
前に父親は「竜は凶暴な生き物だ」と言って、大人の竜に近付くなと言われたが、どこが凶暴なのかもさっぱりだ。
(私だって、その気になれば竜を飼い慣らせるもん)
一回でも世話をさせてくれれば、証明できるのにと頬を膨らます。
「今日は何をしようかな?」
ノノンがそう呟くと、目の前の茂みが揺れた。
「!……何?」
もしや猪だろうか?それとも狼だろうか?
足が震え、ノノンは立ち尽くす。すると、茂みはいっそう大きく揺れた。
そして、次の瞬間金色の生き物が飛び出してきた。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」